1. HOME
  2. 子どもを育む街! つくばスタイルBlog
  3. 先端技術
  4. 人とロボットが行き交う街へ「つくばチャレンジ」
つくばスタイルBlog

人とロボットが行き交う街へ「つくばチャレンジ」

つくばスタイル特派員 NANAO Blog 
2021年12月15日

ある晴れた休日、TX研究学園駅前を子どもと散歩していたら、ロボットとすれ違いました。

さすが「ロボットの街つくば」。

 

 

開催されていたのは「つくばチャレンジ」。

2007年から毎年実施されている、市街地で移動ロボットが自律走行する技術チャレンジです。私たちが普段暮らしているあるがままの実環境(リアルワールド)における、ロボットの自律走行技術の進歩を目的としています。研究者と地域が協力して行う、先端技術への挑戦と公開実験の場と位置付けられています。

数年ごとに市内で開催の舞台を変えており、2018年からはつくば市役所と研究学園駅前公園を中心にコースが設定されています。昨年は走行試験は実施できませんでしたが、今年は2年ぶりに数日間にわたる実験走行と一発勝負の本走行が実施されました。 

 

 

本走行当日、開会式では五十嵐市長からのあいさつもありました。

つくばチャレンジは、ロボットが実環境で走行する場を設けていることに大きな意義があります。法律上、ロボットは路上を自由に走行することができないため、現在はイベントごとに国や警察に申請を行っています。今後こういった先端技術をいち早く市民の生活に活かすために、つくば市は内閣府国家戦略特区のスーパーシティ構想の区域指定を目指している、とのことです。

 

 

つくばチャレンジには、大学、研究機関、企業、個人、学生や社会人のサークルなど、毎年おおむね50以上のチームが参加しています。今年は過去最多の、76チーム、451名が参加しました。

さまざまな形状のロボットが勢ぞろいしています。なんだかワクワクしますね!

  

 

つくばチャレンジでは図のようなコースと課題が設定されています。

その中で、チームごとに走行距離やタイムなどの目標を決めて挑戦します。共通の課題がありますが、つくばチャレンジはコンテストやコンペティションといった競争ではないため順位付けは行われません。

順位付けや賞品がないと参加者のやる気が出ないのではと思いましたが、過去の参加チームからすでに商品化されているロボットもあるとのことです。

 

本走行では、ロボットは人からの指令なしに走る、つまり自律走行をする必要があります。

自律走行のマイルストーンとして、市役所敷地内の確認走行区間のコース、市役所から一般道を通り公園内の折り返し地点までのコース、さらに市役所まで戻ってくるコースの大きく3つに分けられます。

確認走行区間を走り切ったロボットだけが、一般の人や車も通る外のコースに挑戦できます。 

 

いくつかのチームに話を聞いてみました。

 

人とロボットが行き交う街へ「つくばチャレンジ」

 

白いのっぽなデザインが人目を引く、Meiji Univ. AMSL Bの「SQ2-CCV2」。

ほぼ同型のロボットがこれまでのつくばチャレンジの成果を生かし、警備ロボットとして販売されているそうです。

https://www.seqsense.com/

現在のロボットは、人混みの中では衝突を避けるために立ち止まってしまうことが多いのですが、人流に合わせて動き続ける機能を持たせたいとのこと。

つくばチャレンジでは最高時速6kmという取り決めがありますが、この機体はもっとスピードを出せる構造です。直立した状態では転倒のおそれがあるため、速度に合わせて前傾できるように、動力となるメインタイヤをサブタイヤとサーボモーターで支え姿勢を制御しています。

 

 

今大会で唯一の四脚ロボット、千葉工業大学 fuRo アウトドア部の「A1」。その姿はまるで犬の散歩をしているようで、会場でも一番の注目を浴びていました。

これまでタイヤを使ったロボットで参加してチームの目標をクリアしてきたので、今回は四脚ロボットに挑戦。過去には二足ロボットを作成したこともあるけれど、不安定で倒れやすいため安全面からチャレンジは難しかったとのことです。

次年度以降も四脚ロボットで、タイヤ型では上れない階段に挑戦したいそう。

 

 

土浦プロジェクト「Thouzer」。すでに工場などで協働運搬ロボットとして使用されている実用機での参加です。

https://doog-inc.com/

開発者が操縦するチームと開発の知識のない人が操縦するチーム、2チームで参加しました。

今大会で全コースを完走できたのは3チームだけだったのですが、土浦プロジェクト(1)が見事完走を達成しました!

 

 

 

全コースの完走と課題2つクリアを達成したのは、赤い機体が印象的な群馬大学リバストチーム「Mercury」。閉会式ではつくば市長賞が贈られました。2019年に引き続いての市長賞獲得で、今年のつくばチャレンジのポスターにも掲載されています。

 

実行委員長の筑波大学システム情報系大矢教授にお話を伺いました。

「市街地を自律走行するロボットは、技術的にはすでに実現可能なところまで来ています。研究では、何度も行った実験のたった1回の成功でも成功と言えるけれど、現実世界では100%成功しないと成功とは言えません。実験を繰り返し、成功率を上げることがロボットが世の中に普及する鍵となります。

あえて実環境で実験を行うのは、人が設定した条件では人が想像したことしか起こららず、それでは現実には対応できないからです。現実は、急な天候の変化や思わぬハプニングも起こります。実際、大雨が降った年も、中止や延期にはせず本走行を決行しました。

つくばチャレンジでは、それぞれのチームの技術向上へのチャレンジと、ロボットが普及する世の中へ向けた大会としてのチャレンジ、2つのチャレンジに挑むことで、社会の役に立つことを願っています」

 

つくばチャレンジは走行試験の場を設けているだけではありません。7月の説明会から始まり、翌年の1月までシンポジウムといった意見交換や技術交流の場が複数設けられ、参加者たちの技術向上を図っています。

  

人とロボットが当たり前に行き交う街。遠くない将来、つくば市で実現するといいですね!

以上、NANAOがお伝えしました。

 

この記事に関するご感想をお気軽にtwitterまでお寄せください。
新つくば
テレワーク移住で選ぶつくばエリアの魅力
つくばエリア見学モデルコース
つくばスタイルインタビュー
つくばスタイルモデルファミリー~研究学園葛城
つくばスタイルモデルファミリー~島名
つくばスタイルモデルファミリー~みらい平
【座談会】つくばはこんな街~パパ編
【座談会】つくばはこんな街~ママ編

最新記事

カテゴリー

メンバーBlog

過去ブロガーはこちら

バックナンバー

【以前の記事はこちら】
RSS